先代は6年、今のは5年を超えて、超元気  


金魚の飼い方については、本や、ネット、情報は溢れかえっています。長生きさせるために、何がコツなのか? ご参考になればと、10年以上の飼育歴からまとめてみました。




目次


仲良し金魚は、心を平和にしてくれる  


金魚に加えて、メダカ、アカヒレも飼ったことがありますが、金魚の良いところは、その美しさよりも、何といっても、金魚同士が仲が良いことです。

飢餓状態になると、共食いをすることもあるそうですが、家で通常に飼っている場合は、他の金魚を攻撃するのを見たことがありません。春になって、メスに産卵を促すために、じゃれ合うというか、さかるというか、そういうことはありますが、それ以外は仲良くしています。

ついでですが、その頃、水槽が真っ白になることもあります。オスが精子を放出したのです。心配ありません、金魚自身が食べて、水槽をきれいに戻してくれます。(人間にすれば複雑な気持ちですが)

メダカ、アカヒレをその種類だけで飼っていると、まず間違いなく、親分が出てきて、弱いものを攻撃して、餌やメスを独り占めしようとします。小さくて、可愛いのに、頻繁に攻撃的に、「あっち行け」とばかりに、相手に突っかかって行くのを、見ていると、こちらの気持ちがザラザラしてきます。仲良く、ゆったりできないのか、と少し腹がたってきます。

金魚に限っては、そういうことはありません。多分、これが金魚が長く愛されてきた最大の理由だと思います。


餌は、沈む餌(沈降性)



浮いている餌(浮上性)をついばむのを見るのは、幸せな気持ちになれますが、実は、金魚にとっては、危険なのです。

餌と一緒に空気を飲み込んでしまい、転覆病になってしまう危険があるのです。飼い始めの頃、実際に何匹か、これで死なせてしまいました。腹を上にして、ひっくり返ってしまいます。こうなると、まず回復は望めません。餌を沈降性に変えてからは、こういうことは一度もありません。

また、沈む餌(沈降性)だと、沈んで、水に浸かっているので、空気に触れず、1日程度だと腐ることもありません。沈む餌が、翌日まで残っていないか、毎日観察しておけば良いのです。

もちろん、残っている餌を、目で見ることはできません。朝、餌の前に、金魚が何か餌になるものはないかと探し回って、元気に泳いでいれば、OKです。例えば、金魚の動きで水が濁っていればOK、というような。

浮く餌を多めにやって、残したら取り除く、というのは現実的ではありません。金魚を驚かしてしまうし、人間の方がすぐに飽きてしまいます。


元気な5歳金魚(アカヒレも泳いでいます)



朝、一度の餌を、少なめに



金魚の飼い方では、大抵、1日に2、3度と書かれていますが、まず、それでは、必ずやり過ぎになってしまいます。金魚にとって食べ過ぎになってしまいます。私自身、餌のやり過ぎで金魚を苦しめたことは、何度もあります。もちろん、金魚自身は、その時、喜んで食べているのですが。結果、殺してしまったことも。金魚のせいでも、餌のせいでもありません、人間の性(さが)です。酸欠以外では、金魚が死んでしまう最大の原因が、食べ過ぎです。

朝一度だけの餌だと、餌はないかと、漁る時間が増えます。それが良いのです。餌を漁ることで金魚は運動するのです。その運動と、適当な空腹で、金魚は元気になれるのです。朝一番に、金魚が「腹減ったよう~」と、元気に泳ぎ回っていれば、それが最高なのです。

「餌の量は2、3分で食べ終わるくらい」と、よく言われます。しかし、金魚は一度口に頬張ると、しばらく、モグモグやっています。確かに、その一口だけでは、1日分としては不足です。朝一度、その一口の2,3倍、入れておきます。多分、それを昼過ぎまでには食べ尽くしてしまい、あと半日と共に、食べた餌を消化しながら、幸福の内に遊んで過ごします。夜が明けると、腹減った、餌はないかと漁りまわる、というふうなわけです。その朝の様子を見て、量を加減していきます。

こうして、朝十分お腹が空いていると、「ね、ね、早く餌ちょうだいよ~!」と、おねだりダンスをしてくれる、というわけです。餌をやる人にとって、至福のひとときです。ダンスがないようだと、餌のやり過ぎかもしれません。

沢山の餌をやると、金魚は早く大きくなります。それが目的なら構わないかもしれませんが、健康に長生きしてほしいと思うなら、餌は控えめに、です。餌が少し足りなくてもかまいません。金魚は自分の成長具合で、餌の過不足を調整している、とも言えるでしょう。餌不足気味だと、ゆっくりと、しかし元気に、成長するのです。


食欲が落ちる時期に餌の量を減らすことが、重要



金魚は、毎日餌を与えていれば、足りなくて空腹で死ぬことはありません。(2、3日餌がなくても平気です、かえって元気になります) 金魚が餌を食べているのを、人間が見るのがうれしくて、つい餌をやり過ぎて、殺してしまうのです。

春と秋が一番よく食べる時期で、真夏になると、食欲は落ちます。冬は室温(水温)次第ですが、激しく落ちます。特に食欲が落ちていく時期に、やり過ぎとならないよう、十分気をつけましょう。この時期に生死がわかれます。ここは大変重要なポイントです。

また、最初の3年までくらいの間は、成長期で、春秋にはびっくりするほど食べますが、4年目くらいになると、大人になって、ぐんと食欲が落ちてきます。人間と同じです。食欲が落ちる時期に、同じようにたくさんの餌を与えると、食べ過ぎ、病気につながります。これも大変重要なポイントです。


「金魚のフン」は、笑っている場合ではない



「金魚のフン」という言葉がありますが、金魚が1cm以上の長いフンを出していたら、餌をやり過ぎている証拠です。消化不良を起こして、下痢便になっているのが、「金魚のフン」なのです。

フンが、数mm以内に収まっているか、毎日よく観察しておきましょう。「金魚のフン」になっていなくても、水槽の底を見て、長いフンがあるようですと、餌の量が多すぎる可能性があります。心を鬼にして減らしてみましょう。


おやつに、水草、麩、柔らかい菜っ葉



水草は、金魚を飼うのに、ぜひとも入れてほしいものです。もちろん、水草を入れたら、光が必要になります。直射日光は、特に夏場は水温を上げすぎてしまって、危険なので、冬以外は日が当たらない方が、望ましいです。水槽用の照明をつけると金魚もきれいに見えるし、水草のエネルギーにもなります。

私は水草にアナカリスを入れています。丈夫できれい、その上、金魚のおやつにもピッタリ。浮かせても良いのですが、容器に小石を入れて、そこに植えるようにして、水槽の底に置くと、趣があって、より美しいです。

水草は、水中の養分(金魚にとっては有害物)を吸収して、水の浄化をしてくれます。さらに、水草自体が、金魚のおやつになります。もし、餌が不足していると、水草を食べてくれます。金魚の栄養(ビタミン、ミネラル)にも望ましいと、思います。

水草がなくなるのが、水草の成長より速いようだと困ったことになりますが、金魚の餌が不足しているということなので、餌を増やせば良い、ということです。水草を全然食べないと、餌のやり過ぎの可能性大です。分かりやすいです。(金魚が水草も食べられないチビッコの時は、別です)

麩(吸い物などに入れる、あのフです)も、金魚の良いおやつになります。水を吸って、嵩は大きくなりますが、カロリーは少ないので、食べ過ぎになることは、少ないです。麩の食べ具合で、餌が適量かどうかを判断する基準にもなります。金魚は、麩が大好きみたいで、大げさに嬉しそうに食べてくれます。

朝、餌をやって、午後、(人間の方が)さみしくなったら、麩を少し与えると、(人間の方の)気持ちが落ち着きます。少しだけ。やり過ぎないように。

小松菜の葉先とか、ブロッコリースプラウトとか、モロヘイヤとか、柔らかい菜っ葉も喜びます。キャベツとかの固いものは、食べてくれません。菜っ葉も、おやつとして、餌の適量を計る指標になります。菜っ葉を全然食べないようだと、餌の量が多すぎる可能性大です。野菜は残しても何日か、浮いて、腐ることはありません。少し傷んでも、金魚には問題ないようです。

クモを放り込んで、金魚を死なせたことがありました。誤りはまねないでください。生き餌については、定番のもの以外は避けた方が良いようです。


茂りすぎた水草は小さくちぎって、金魚の餌



順調な水槽だと、水草が繁殖して、金魚が泳ぐのに邪魔になってきます。そうした時は、適当に手で小さく刻んで、戻してやります。こうすると、泳ぎの邪魔にはならないし、水草はまた養分を吸って(水を浄化して)、脇芽を伸ばし、成長します。

金魚には食べやすい大きさなので、オヤツとして、モグモグしているようです。以前は、アナカリスの葉を、しゃくるように、ちぎって食べていましたが、今は、おとなしく、いつもモグモグです。

この、ちぎり方式にしてからは、アナカリスが葉を全部食べられて、茎だけになってしまうことが、なくなりました。また、他の野菜など入れなくても、金魚はいつもモグモグしています。

以前は、アナカリスを外に出し、ミキサーでジュースというかスムージーというか、にしていました。金魚には食べやすいようでしたが、瀘過器を詰まらせる原因になるので、ちぎり方式に変えました。


水は適当に汚れている方が良い



「水清ければ魚棲まず」の言葉がありますが、金魚にとってもその通りです。

水が適当に汚れている、ということは、金魚の排泄物を処理する微生物が活発に活動しているということですし、水草の養分があるということでもあります。水草の養分があるということは、その養分を吸収して苔が生える、ということでもあります。

金魚が餌を食べると、フンになります。そのフンが、微生物によって分解尽くされるまでの間は、金魚が活発に泳ぐと、フンのクズとして、水中に舞います。これを嫌わないでくださいね。金魚は他の種に比べて、大食いの方だと思います。で、餌をやる楽しみもあります。その結果のフンです。おおらかに受け入れましょう。

もちろん、水草の養分が多すぎても、金魚には辛いことになります。特に、最初の頃はリサイクルのバランスが出来上がっていないので、早めに水替えしたほうが良いでしょう。その内、バランスが出来上がってくれば、水草の成長具合で、何となく分かります。水草も、苔も、金魚も元気に生きていれば、たまの水替えで問題ありません。(少し恥ずかしい話ですが、私は、フィルター掃除、苔掃除だけで、水替えはほとんどしていません、でも元気な金魚です)

水槽壁面につく苔は、私は活性炭が入っていたネットでゴシゴシしています。磁石式の、手を水に入れないでゴシゴシできるものもあります。(隔靴掻痒ですが、楽です) 苔をゴシゴシすると、金魚は、これも喜んで食べてくれます。薬剤で苔を生えないようにするのは、良くないように思います。


これはおすすめ! 苔取りにステンレスタワシ



その後、思いついて、ステンレスタワシを使ってみました。バッチリでした。

苔が楽々で取れます。(ガラス水槽限定、プラ水槽にはダメです) また、取れ方が違います。苔は取っても、すぐ生えてくるものですが、ステンレスタワシだと、根こそぎ取れてしまうからか、その後の生え方が全然違って、遅いです。

合成洗剤が水槽に入ってしまうと良くないので、使う前によく水洗いするか、水槽用にもう一つ用意しておいた方が良いかと、思います。
スチールタワシは鉄で、弱くて錆びやすいので、かけらを金魚が飲んだり、鉄分過剰になってもどうかと思われますので、避けたほうが良いかと、思います。

清濁併せ呑む、ではありませんが、余りにきれいを望むと、金魚は生きていけません。(まるで人間みたい。当たり前です。同じ生き物です。) 金魚、微生物、水草、苔、人間、適当に妥協し合いながら、共に幸せに生きていきましょう。

今の金魚がどれだけ長生きするか、また今の時期に、ご報告したいと思います。
(2022年5月12日)

悲報! 1匹死去



(2022年10月24日)金魚が、1匹死んでしまいました。この夏の暑さで参っていた所へ、高齢も加わり、老衰かと思われます。

思えば、最近は、2匹でのじゃれ合いも見かけませんでした。既に、かなり体調をくずしていたのですね。

でも、残っている金魚1匹とアカヒレ1匹は、大変元気そうなのです。思い起こせば、死んだ1匹は、真夏以降、ここ2,3ヶ月、ハツラツとした元気さがなかったような気がします。ここへ来て5年と数ヶ月、寿命だったのかもしれません。

でも、それに気がついて、真夏に水温を少しでも落とすようにしてやるとか、濾過フィルターをもっとひんぱんに掃除してやるとか、餌断ちとか、気がついてさえいれば、結果を見ながら、あれこれ打つ手はあったように思います。

原因は慢心としか思えません。

これを読まれる方には、このことを反面教師としていただくことを願います。慢心を戒め、残り1匹を、さらに長生きさせることに努めたいと、思います。反省しまして、この記事はこれにて完結といたします。