階下に避難できなくて死亡、とかいうニュースに接すると、少し心配になってきます。私も上階に暮らしているからです。
危機状況で、はしご車に来てもらわないと降りる事もできない、というのも情けないかと。

ロープ1本で避難できないものかと、あれこれやってみました。
結果できあがったのが、これです。




目次



以下の耐荷重の計算では、「地球表面において質量1キログラムの物体の重量は約9.81ニュートン(N)である」(Wikipediaより) ので、〇〇〇KN×1000/9.81≒●●●kgで計算しています。


ロープだけでは体力的に、降下は無理


ロープ一本(下図のものは、トラックロープ9mm×15m、引張強度、7.4KN≒754kg)
トラックロープ
だけを頼りに、降りようとして、結び目とか、手袋とか考えて見たのですが、手と足の力だけでは、自分を支えられない、という現実をはっきり突きつけられたのでした。

消防士の人たちが、ロープ1本を登ったり降りたりしているのを、通りがかりに見ることがありますが、あれは、ものすごいことなのですねえ。

一生の間に使うかどうかもわからないのに(まず使わないはずです)、縄ばしごなど、かさばるばかりで、家においておくことはできません。せいぜい、ロープ1本プラスアルファです。

結局、体重を他の物に預けて、それをロープとの摩擦力で支え、ズルズルと降りていく、ということに落ち着きました。

玉掛け用スリングベルトに座る


玉掛け用スリングベルト(下図のものは、使用重量800kgですから耐荷重の問題は、クリアしています)に自分の体重を預け、

スリングベルト

これを、カラビナ(強度/22-7-7kN)でロープに引っ掛けられるようにします。

スリングベルトをカラビナとエイト環で、ロープにつなぐ


カラビナの強度は、
によりますと、左の数字22は、長い方向に引っ張られる場合の強度、中の数字は、ゲートが閉じた状態で狭い方向に引っ張られる場合の強度、右の数字は、ゲートを開いた状態で長い方向に引っ張られる場合の強度、だそうです。ロープとスリングベルトをつなぐ場合の強度は、22KN≒2242kgとなります。十分な強度ですね。


カラビナ

カラビナは、ロープの余りを使って、スリングベルトとつないでおきます。

しかし、カラビナを直接ロープに掛けてしまうと、やはり降りるスピードをコントロールできないで、落ちてしまいます。

そこで、登山用のエイト環(下図のものの強度は、24KN≒2446kg)を使って、降りるスピードをコントロールできるようにしました。



エイト環


避難の段取り


使い方は、こうなります。

  1. ロープの端を手すりなど頑丈なものに、縛る
  2. 残りのロープにエイト環を掛ける
  3. スリングベルトに足を通し、尻に引っ掛けて、座るようにする
  4. スリングベルトにつないであるカラビナを、エイト環に引っ掛ける
  5. 手袋をし、外に出て、ゆっくり降りていく

この最後の、ゆっくり降りていく、というのが、結構難しいです。やはり、力がいります。下手すると、ずり落ちて、ロープとエイト環の間に指が挟まれてしまう危険も感じられます。ロープの垂れる方を、背中に回して、摩擦抵抗を強める、という方法もありそうです。この辺は、まだ研究が必要です。(外壁ではなく、ぶら下がり健康器で練習していますので、ご安心ください)

幸いにして我が家は、目もくらむような高さではないので、こういうことも考えるのです。この避難ロープ自体は役立つことがなくても、この用意の中で学んだことが、いつか、別な形で役立つかもしれません。

この避難ロープさえ使えない、ということにならないよう、体を鍛え、訓練を重ねておかないと、と思うのでした。


9/1防災の日に、訓練


2022年9月1日に、取り出して、練習しました。結構忘れています。やり方を書いた図面が、必要かと思いました。


ビレイデバイスも使える


ビレイ・デバイス (belay=ロープを巻き付けて固定する  実際は一方だけを固定して、もう片方を使って、降下するための器具) といって、素人が降下するのにやりやすい道具があるらしいです。山登りと言えば、里山登りぐらいなので、このようなものがあるとは、知りませんでした。

安全第一ですので、注文してみました。

ビレイ・デバイス





届きました。早速使ってみました。

これは、エイト環に比べると、落下を確実に止めることができます。これを使って、降りていくことはできると、思います。その反面として、ガクガクする感じになってしまい、スルスルとゆっくり降りていくというのが、難しく感じます。

どちらが良いのか、判断が難しいです。


非常時の降下にはエイト環が適当か


エイト環の利点は、ロープを折って、エイト環の大きい穴に通し、細い方に引っ掛けるだけで使えることです。その後、エイト環の小さい穴にカラビナを掛ければ完了です。
ロープはエイト環の太めの丸い軸に沿ってスルスル動くので、ガクガクせずに降りるのに向いています。




ビレイ・デバイスは、ロープの抜け止めを兼ねて、カラビナをロープに通す必要があります。そのために止まりやすいのですが、ロープが傷みやすいとも言えます。(1回きりの避難のために心配することでもないと、思いますが) エイト環だと、ロープはエイト環の回りをスルスル動くだけですので、ロープは傷みにくいように思います。

エイト環とロープの間に指が挟まれそう、という問題については、ロープを腰に回して、両手と背中の摩擦で調整するようにすれば、安全に降下できそうです。

でも、しばらくは、これもあれも試しながら、判断しようかと、思っています。その時の状況次第で、適した方を使えるようになれば最高です。

いずれにしても、結構体力を使って、息が上がります。有事に生き延びることは、簡単なことではない、と自分に言い聞かせ、筋トレを兼ねて、いろいろ試しています。